県広報コンクールの開催
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〈審査委員〉 産経新聞 静岡支局長 青山 博美
静岡大学教育学部 准教授 川原�� 知洋
静岡県広報業務アドバイザー(デザイン) 八木 朋美
◇どの広報誌も現場の取材記事や写真、図などを使って特集を組んでいるが、防災関連など説明や扱いが難しいテーマについては更なる工夫の必要性も感じた。 例えば、南海トラフ地震臨時情報についての特集は複数の紙誌でみられるが、「臨時情報とはなにか」に加え、それぞれの市が南海トラフ地震でどういった被害を受けるのかといった被害想定や震災時の心得、対応などについても手厚くまとめたほうがいいのではないかと感じた。というのも、読んだ際に「万一の場合この市にはどれぐらいの津波がどれぐらいの時間で到達するのだろう」といった次なる疑問が湧いたからだ。 バスの新たな取り組み、路線維持に向けた挑戦に関する特集などでも、読み進むうちに知りたくなる情報が出てくるケースがあった。そうした“新たな疑問”の多くは「そもそも論」で、論じているテーマそのものではないが、疑問に応える情報があればよりテーマの本質や必要性が理解できるように思う。その場合も、前提情報などは図やグラフなどにまとめるなど、多大な紙片を割かない工夫は必要となる。 一方、デジタルメディアとの連携は全体的に少ない印象を受けた。QRコードなどを活用し、市のサイトなどで詳細を説明したり案内するといった展開も一考の余地がありそう。デジタルツールを使っていない市民も一定数いるだろうから、サイトを見ないと把握できない記事はよくないが、前述のような説明を要する特集などについては、補足資料などをネット上に掲載し、これと連携することでより多くの情報ニーズに対応できるのではないか。お知らせのコーナーなどは掲載されている情報も少ないため、詳細の説明があるサイトとの連携は有効だろう。 全体を通して感じることは、市の直面する課題を親しみやすく発信しているという点だ。その方向性には好感が持てる。人口減少などは今後も続くことから、これに起因する課題も次々と浮上することだろう。そうした際に、市民と問題意識を共有し、解決への方策を探る上でも、さらなる表現方法の研鑽やデジタルツールの活用などに期待したい。 ◇今年度も想いのこもった広報紙を審査させていただきました。各自治体の広報紙は年々、見やすく、分かりやすく、より興味を持って読むことのできる広報紙に進化していると感じます。広報紙の制作に関わる皆様に敬意を表します。 今年度の広報紙の特集ページの企画として、加速する高齢社会に向けた「自助・互助・共助・公助」のあり方について取り上げている傾向があるように思いました。その中でも特に「互助や共助」について、各地域の諸課題と具体的な事例紹介によって構成されている自治体が多かった印象です。 伊豆の国市の特集は「自治会って必要ですか?」。この問いは伊豆の国市だけでなく、他地域でも同様の課題であり共感性の高い話題なのではなないでしょうか。スマートフォンの台頭や個人主義的な考え方が蔓延する中、どのように「自治会」と向き合うべきか。複雑に絡み合う課題や問題に対して防災・環境保全・伝統継承という3つの視点で事例を紹介しながら特集が組まれておりました。 伊東市は「認知症の人にやさしいまちは誰にとっても住みやすいまち」が特集されておりました。富戸ケアファームの実践は先駆的で、認知症になった人も前向きになれる取り組み事例であることを知ることができました。新しく何かを造るのではなく、すでにその地域にある環境と人とを組み合わせているからこそ、地域に寄り添い持続可能なコミュニティが可能となるように感じました。 磐田市の特集は「お互いさまのこころを運んで」。高齢者の方々を対象とした移動支援サービス車「もろこ号」の取り組みの紹介がなされていました。昨今、自動運転の導入とその実用化が期待されていますが、私たちの生活の中に導入されるにはまだ少し時間がかかりそうです。そのような状況の中、地域の方々ができる範囲で協力することで移動支援サービスが成り立っているとの報告でした。「無理のない範囲でのボランティア活動」がうまく機能しており、他の自治体のヒントにもなり得る好事例なのではないでしょうか。 沼津市は「公助」の手助けとして、公共交通機関であるバスの乗り方についての特集でした。バスの乗り方・使い方は、市民であれば、あるいは大人であれば当然知っているだろうというのは思い込みかもしれないと感じました。バスの乗り方について、改めて詳しい説明がなされていることから、大人だけでなく、子どもにとっては教育の機会になり、高齢者や移住者(特に海外からの移住者)にとっても貴重な情報となっているのではないかと思いました。 御前崎市の特集は「学びで潤う私の日常 人生の宝物を探す航海に出よう」。「自助」のあり方が提示されているように感じました。御前崎市独自の3つのツールを活用した生涯学習としての学び方が紹介されていました。学びの航海図、生涯学習ガイドブック、学びのパスポートは、御前崎以外の人にもぜひ紹介したくなるツールです。子どもから高齢者まで、それぞれが現在置かれた立場から、より豊かな人生にするために具体的な活用方法や効果がさまざまな人へのインタビューを通して紹介されていました。豊かな人生を送るためには、共助・互助・公助も欠かせませんが、やはり最終的には個人の考え方・捉え方に拠るところが大きいのかもしれません。 自分自身の日常生活の交通手段について改めて考えてみた時、バス路線が廃止されて困っている人の存在、そもそもの移動手段がなく困っている人の存在について「自分事として捉えられていない自分」に気づかされました。自分にできることで無理なく地域に還元できることは何か。自分にとっての豊かな人生を送るとは何か。広報紙を読み終え、改めて自分と向き合って考えてみたくなりました。 ◇各市でのさまざまな取り組みが大変興味深く、楽しく審査をさせて頂きました。 特に特集は、各市の取り組み、課題、想いなどの現状が垣間見られました。広報紙の役割はもちろん、予算も熱意も状況も、各市によりさまざまであると考えられます。そのため、一概には言えませんが、特集にあてるページ数はある程度を割いた方が、内容の説得力と魅力が増している印象を受けました。また、表紙についても、特集記事と関連させた写真を使うかどうか、今号の特集が何であるかを文字だけでも伝えるかどうかで、特集記事への興味喚起が大きく変わると感じました。周辺他市の広報紙にも目を通すようにすると、その内容や編集、デザインにおいて、お互いに学びがあるのではないかと思います。 みなさんの想いが、より伝わる広報紙になることを願っています。 |